【となえざんまい】
インフォメーション
題名 | となえざんまい |
著者 | 式似名 |
出版社 | 水青式書房 |
出版日 | 2024年2月 |
価格 | 330円(税込) |
簡単なあらすじ(公式より引用)
歯車に散けてしまいたいの?
そら、カンザシで装いましょう。私のご挨拶に巻き込まれてしまったのね。重なる巴だ。八つの重なり。
ここは極楽で、地獄で、宇宙だ。だからここは茶室なのだ。循環は隠されました。私の振る舞いも隠されました。
お前は朕の睡蓮でなければならない。やっぱり、月光が染みているのね。
もう、凪いでしまえば良い。薙いでしまえば良い。渚は始まりで、終わりでもあるからな。水晶の嘘に逃げるのだね。だから、私のような稀人との結び目を尊ぶのですか?
還ることはあるかも知れないでしょう?スピリチュアルな奇想の物語。あるいはセンテンスアート。
登場人物
・ヒオ
主人公、私、語り部。父親の死を感じ取り、葬送の儀式のために実家に戻る。
・ヒオの父
ヒオの記憶の存在。川の摂理を利用して、幼いヒオを偏愛していた。
・ヒオの偽父
唱えによって構築された茶室の主。ヒオの父のようにヒオを偏愛しようとする。
・ヒオの母
川の摂理によって人ならざる者と重なる存在。ヒオを食することを狙っている。
・ヒオの上の姉
実家の行事を仕切る存在。ヒオと下の姉を恐れている。
・ヒオの下の姉
神隠しに遭って以来奇妙な言動を繰り返す。ヒオと結び合っている。
あらすじ
※一部、ネタバレを含みます。
※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。
ヒオの生きるまち
主人公・ヒオの街では古くからの風習が根強く生きていて、川を象徴とした儀式が多く執り行われている。
しかし、時代と共に儀式は行事のようになり、それを都合良く利用する者も現れてきた。
また、その街は人ならざる者との距離感が近く、その者たちも儀式に関わってくる。
そんな中、父の死を感じ取ったヒオが船頭とともに実家に帰ってくる。
鬼とのまぐわい
ヒオはイチョウの木のそばで鬼面の少年と出会う。
鬼面の少年は「お前は俺とまぐわってくれるのか?」とつぶやく。
イチョウの木に言ったのか、ヒオに言ったのかは定かではないが、ヒオは頷く。
「お前が忘れてしまっても、俺は決して忘れない」と鬼面の少年は言い、ヒオが少年から目を離した間に少年の首は飛んでいた。
姉と甥
ヒオが帰宅すると、上の姉はヒオが船頭と帰ってきたことに苦言を呈し、二人の甥は具合が悪そうなヒオのことを心配する。
着物に着替えたヒオは上の姉、下の姉、甥っ子、母親とともに葬送の儀式(唱え)を始めた。
すると、唱えによって樹海と茶室が構築され、ヒオは後々そこで偽父と対峙することになる。
ヘビガエルの母
「本当に、あなたは役に立たないのね」と、母は苛立ったように言う。
その頭は蛇のようでもカエルのようでもある。
母は川の摂理によって人ならざる者と重なることができるのだ。
アンモライトを食する母は、やがてヒオのことも狙い始める。
儀式の終わり
葬送の儀式によって作られた茶室でヒオは偽父と対峙する。