【不登校に、なりたくてなる子はいない。】
インフォメーション
題名 | 不登校に、なりたくてなる子はいない。 |
著者 | 上野良樹 |
出版社 | ぶどう社 |
出版日 | 2016年9月5日 |
価格 | 1,870円(税込) |
大切なことは、学校を休んで過ごせる場所が、
子どもにとって安心できる場所であることです。
自分の気持ちを聞いてくれる人がいること、
自分の不安や悩みをいっしょに考えてくれる人がいること、
未来のことについて話し合える人がいること。
子どもといっしょに悩み、考えつづけることで、
子どもたちは自分なりの答えを見つけ出していきます。
1部では、年齢によって園児から小学生・低学年、小学生・高学年、中学生に分けて、
子どもといっしょに園や学校に行けなくなった原因を手探りし、
そこから子どもといっしょに解決策を考えるための手立てを示しています。
2部では、不登校が増えつづけている学校づくり、学校力について考えてみたいと思います。
引用:ぶどう社
ポイント
- 体の病気に救急疾患があるように、心の病気にも緊急事態がある。病気になりたくてなる子がいないように、不登校になりたくてなる子はいない。
- 体の病気に見逃してはいけない急性期があるように、心の病気にも急性期がある。不登校(園)という現象に対しては、素早く、なるべく単純に対処することが、最も大切だ。
- 安心できる場所とは、自分の気持ちを聞いてくれる人がいること、自分の不安や悩みをいっしょに考えてくれる人がいること、未来のことについての道すじを話し合える人がいることである。
サマリー
不登校の子どもたちからのメッセージ
著者が小児科医になった1977年頃、<登校拒否>ということばが、毎日のようにメディアに取り上げられた。
それ以来、<不登校>と名前を変えても、園や学校に行けなくなった子どもたちとのかかわりが続いている。
子どもたちを診るうえでのポリシーはたった一つ、<泣いて来た子は、笑顔で帰す>である。
診察時、不登校の子どもに伝えることは以下の5つだけだ。
- 来てくれて嬉しいと伝えること
- 学校に行けないつらさに共感すること
- なんとかして笑顔を引き出すこと
- 今後の作戦をいっしょに考えること
- また報告に来てほしいと伝えること
体の病気に救急疾患があるように、心の病気にも緊急事態がある。
病気になりたくてなる子がいないように、不登校になりたくてなる子はいない。
目の前で、学校に行けず苦しんでいる子どもを笑顔にしたい。
その笑顔が明日への子どものパワーやエネルギーになると信じている。
病院の小児科という、学校でも家庭でもない場所だから見せてくれる子どもたちの姿がある。
それは、<不登校>の子どもたちからの、「もう、学校に行けない子をつくってほしくない」というメッセージにも見える。
それは、社会的弱者としてではなく、社会や環境の変化を先取りし、あたかも危険なガスをいちはやく検知するための小鳥のような存在として発せられたメッセージである。
必要なことは、不登校の受け皿つくりではなく、不登校にならなくてすむ学校づくりではないだろうか。