【庭に小さなカフェをつくったら、みんなの居場所になった。 つなげる×つながる ごちゃまぜカフェ】
インフォメーション
題名 | 庭に小さなカフェをつくったら、みんなの居場所になった。 つなげる×つながる ごちゃまぜカフェ |
著者 | みやの森カフェ / 南雲 明彦 |
出版社 | ぶどう社 |
出版日 | 2019年4月 |
価格 | 1,760 円(税込) |
福祉でもない、支援でもない
新しい形の居場所、みやの森カフェ!
南雲明彦がカフェのオーナーとカフェに集う人と一緒に、カフェの魅力、秘密に迫る!
富山県砺波市にある「みやの森カフェ」。
カフェには、入れ替わり立ち替わり様々な人が訪れます。
眉間にしわを寄せて訪れた人も、帰るころには笑顔がこぼれています。
健常も障がいも、老若男女も関係なく、生きづらさが小さくなる場所です。
共通点は、カフェのお客さんであること。
カフェの中にいる人たちは、誰もが交換し合う関係にあります。
みやの森カフェが示してくれるのは、「つながり」の豊かさであり可能性です。
はじめにより 南雲明彦
引用:ぶどう社
ポイント
- 最も多い相談が「生きづらさ」である。全国各地を回り、様々な立場の人と対話をする中で、「生きづらさ」を抱えている人たちに共通するものが「孤立」だ。つながっている人たちがいないわけではない、つながっている人たちがいる中での「孤立」なのである。
- 「誰かのために居場所をつくる」のではなく「自分の居場所を誰かとつくる」、さらに、なるべく自分が楽できるように、いろんな人を巻き込んでいこうというのが私の原点だ。
- 誰かが「場」をつくり、そこに風のようにいろんな人が出入りする。もちろん、トラブルや困ったことも起きるかもしれないが、それでも、みんなで考えて解決に向かうこと。それが、本来ある人間関係を作っていくことなのではないかなと思う。
サマリー
はじめに:「個」と「個」のつながりにたくましさを感じて
便利な世の中になり、スマートフォンやパソコンなどで気軽につながりを持てるようになってきた。
SNSやブログでつながり、相談を受けることもあるが、最も多いのが「生きづらさ」である。
全国各地を回り、様々な立場の人と対話をする中で、「生きづらさ」を抱えている人たちに共通するものが「孤立」だ。
つながっている人たちがいないわけではない、つながっている人たちがいる中での「孤立」なのである。
「孤立してない人」は、多少なりとも他の人と何かを交換している。
物じゃなくても、してもらったことに対するお返しなど、何かをしたから、してもらうこともあるだろう。
他の人と何かを交換し合うことで「生きづらさの根っこ」が小さくなるのであれば、それはとても素敵なことである。
今回、交換し合う舞台に選んだのは、富山県砺波市にある「みやの森カフェ」だ。
「みやの森カフェ」が示してくれるのは、「つながり」の豊かさであり可能性である。
このカフェに関わっている人達の日常や思考、感覚にふれることで、「居場所」に欠かすことのできない「個」と「個」のつながりのたくましさを感じていただけたらと思う。
みやの森カフェオーナー 加藤愛理子
居場所
私の自慢は20回の引越しである。
家族は仲がよかったが、転々と家が変わる生活では「この家が居場所」とは思えず、固定された居場所のイメージが私の中では作れなかったのだ。
だからこそ、一生かけて「居場所」にこだわり続けるのかもしれない。
「誰かのために居場所をつくる」のではなく「自分の居場所を誰かとつくる」、さらに、なるべく自分が楽できるように、いろんな人を巻き込んでいこうというのが私の原点だ。
小さな家と小さなカフェ
最初の夢は、大きな古民家をリフォームしてゆったりとした家とカフェをつくるということだったが、現実的に予算が合わず、小さな家と小さなカフェを建てた。
ずっと1人でやってきた私だが、一緒にやろうと思う仲間が見つかった。
九歳年下の水野カオルさんである。
私たちの共通点は障がいのある姉妹がいること、いわゆる「きょうだい児」と言われる立場だ。
私の妹は軽度の脳性麻痺、水野さんのお姉さんは重度の知的と身体障害者だったので、感覚的に分かり合えることがあった。
「仲間」と「居場所」があって、必要な時にだけ行ければいい、そんなゆるい「居場所」をつくろうと2人でスタートしたのである。
私のガンが発見される
実は、砺波市に引っ越す4日前に、健康診断書の結果「要精密検査」の通知が届いた。
とりあえず引っ越しを終えて、その後精密検査、更にセカンドオピニオンも行ったが、結果は「肺ガン」だった。
手術をおこない、リハビリを頑張って3週間で退院。
その後、ゆっくり再開しようと思ったのだが、なんせ自宅の敷地がカフェなので、人がたくさん来るわ来るわ。
「きっと私は、何があっても休めないんだな」と実感した。
1年目の検診で手術してくれた医師から、「加藤さんがガンになったこと、きっとあなたの人生にプラスになりますよ」と言ってくれた。
先生はずっと私の活動を応援してくれてたのだ。
実は私も、プラスになっていると感じ始めている。
これは病気だからというわけでなく、「困りごと」や「心配ごと」を自分のものとして実感したとき、真の仲間とつながる糧になると思うのだ。
人生の中でハプニングは、いつでもどこでも、どこからでもやってくる。
「どうしよう」とうろたえた時「私も経験あるよ!」と言ってもらえるだけで勇気がもらえる。
そのためにも、色々な人とつながっていると安心できるだろう。