【ディズニーキャストざわざわ日記】
インフォメーション
題名 | ディズニーキャストざわざわ日記 |
著者 | 笠原 一郎 |
出版社 | 発行 三五館シンシャ/発売 フォレスト出版 |
出版日 | 2022年2月 |
価格 | 1,430円(税込) |
「ハッピーなことばかりの仕事などない」
清掃スタッフ(カストーディアルキャスト)が描く、
不安と夢の現場報告
――これは私の実体験である
われわれも人間だから、手を抜くこともあれば、ミッションを忘れるほどゲストに対して怒りを覚えることもある。仲間と会社の愚痴も言い合うし、給料が安いと不満を持ったりもする。
それは本書をお読みいただければ、おわかりになるだろう。
私が本書をつづろうと思ったのは、数多のディズニー本に対する違和感が一因だ。
本書は模範回答的なディズニーランド像に対する現場からの実態報告でもある。
そして、本書にあるのは決して「創作された物語」などではなく、すべて私が実際に体験したことである。
――57歳で入社し、65歳で退職するまで、私がすごした8年間で見た〝夢の国〟の「ありのまま」の姿をお伝えしよう。
引用:フォレスト出版
ポイント
- ディズニーのキャストは、雪が降ろうが嵐が来ようがひたすら歩きまわって、清掃業務やゲストの案内にいそしむ。絶景の雪景色も恨みの雪だ。キャスト泣かせの仕事のひとつが嘔吐処理で、週に1回程度発生する。
- キャストの大半は「準社員」である。その実態は非正規雇用であり、待遇面をはじめとして正社員とは根本的に異なっている。準社員は時給制で、時給1070円として、1日7時間、月20日で約15万円である。
- キャストショップでは、イベント後に売れ残ったグッズや、賞味期限が近くなったお菓子などを従業員向けに安く販売する。朝9時半開店の前には長蛇の列ができ、これから仕事だというのに、みなわれ先にと買い求めていく。
サマリー
キャストの慌ただしすぎる日常
肉体労働者
カストーディアルキャスト(おもにパークの清掃業務を担当するスタッフ)は、オンステージ(ゲスト(来園者)が見ることのできるエリア)をひたすら歩きまわって、清掃業務やゲストの案内にいそしむ。
雪が降ろうが嵐が来ようが逃げられない。
ある大雪の朝、当日勤務のキャスト(スタッフ)全員に早出が命じられた。
積もった雪を「蒸気船マークトウェイン号」の乗り場近くのアメリカ河に捨てろという指示だった。
スコップで雪をかき、大きな容器に入れる。
数分で汗が出てきて、上着もいらないほどになる。
小1時間ほど作業したところで、急にストップがかかった。
アメリカ河に捨てられる雪が多すぎて、蒸気船の運航に支障が出る可能性があるという。
「バックステージ(キャストしか立ち入ることができないエリア)に運び込んでください」
バックステージまでは距離があり、余計に重労働になる。
さらに、凍りついて滑りやすくなったところには、ビニール袋にお湯を入れた「湯玉」を当てて根気よく溶かす。
雪景色のパークは絶景であり、SNSにあげる格好のネタになっているようだが、われわれキャストにとっては恨みの雪なのである。