【メガバンク銀行員ぐだぐだ日記】
インフォメーション
題名 | メガバンク銀行員ぐだぐだ日記 |
著者 | 目黒 冬弥 |
出版社 | 発行 三五館シンシャ/発売 フォレスト出版 |
出版日 | 2022年10月 |
価格 | 1,430円(税込) |
「上司に振りまわされる仕事」
現役銀行員が暴きだす、
業界の恥部と醍醐味
――語らずにいられないこと
M銀行は最近、世間を騒がせるいくつかの不祥事を引き起こした。
多くの行員がその対応、事後処理にあたり、私もその最前線にいたひとりだった。
ニュースで報じられる事件の裏側には、現場で汗を流し、時に罵倒され、頭を下げている人たちがいる。そんな生身の姿を知ってもらいたいと思った。
――四半世紀を超える銀行員生活で、語りたいこと、語らずにはいられないことがある。
引用:フォレスト出版
ポイント
- 私が働くF銀行と、D銀行、N銀行の三行が統合し、M銀行としてスタートする日。システムが壊れ、M銀行の全支店でATMが動かなくなった。お客がロビーフロアにあふれかえる。私たちはお客を食い止めるよう指示され、揉みくちゃにされながら両手を広げ、お客を阻止した。
- M銀行は、三行がひとつになり成り立った金融グループで、準備期間から水面下ではマウントの取り合いが始まっていた。マウントの取り合いが、最悪の発足日を招いた。
- 3回目の大規模システム障害が起こり、リモートでの「支店長会議」が行なわれたが、支店長、課長に危機を解決できる能力がないこと、本部も指示すら出せないことが、白日のもとに晒された。このぐだぐだな会議こそが、M銀行の縮図であったのかもしれない。
サマリー
3度あることは、何度ある?
統合初日の悲劇
2002年4月1日、月曜日。
私が働くF銀行と、D銀行、N銀行の三行が統合し、M銀行としてスタートする日。
私はさいたま新都心支店の取引先課(外まわりの営業)に勤務していた。
9時すぎ、私は見たこともない光景を目にした。
おびただしい数のお客がロビーフロアにあふれかえり、外の路上までいっぱいになっている。
システムが壊れ、M銀行の全支店でATMが動かなくなったのである。
何が起こっているのかよくわからないまま、お客を食い止めるよう指示され、揉みくちゃにされながら両手を広げ、お客を阻止した。
「お金はいつ下ろせるのよ!」と年輩の女性が詰め寄り、「どうなってるんだか説明しろよ!」と作業着の男性が怒鳴る。
しかし、いつ直るのかも誰も聞かされていない。
「申し訳ございません! 入場制限しております! ご迷惑をおかけします!」
何を聞かれても大声でそう答え続けた。
午後3時、窓口を無理やり閉めた後も、取引先からの怒りの電話に忙殺された。
昼飯を食べることもできず、一日中立ちっぱなしだった。