【ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来】

題名 | ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来 |
著者 | ユヴァル・ノア・ハラリ (著)、柴田 裕之 (翻訳) |
出版社 | 河出書房新社 |
出版日 | 2022年9月 |
価格 | 990(税込) |
全国売れてる本1位!あなたは「神の人ホモ・デウス」か“無用者階級”か―
全世界1000万部突破『サピエンス全史』の著者が描く衝撃の未来
『サピエンス全史』は、私たちがどこからやってきたのかを示した。
『ホモ・デウス』は、私たちがどこへ向かうのかを示す。
『サピエンス全史』は過去についての本であり、とるに足らない類人猿が、どのように地球の支配者になったのかを示した。ハラリの新著、『ホモ・デウス』は未来についての本であり、21世紀において私たちはどのように自らを「神」へと変えようとしているかについて示す。老化や死を克服する能力や、動物や植物、そして人間そのものを意のままに設計・創造するといった神のような能力を、私たちはどのように獲得するのか?
私たちは「ホモ・サピエンス」(賢いヒト)から、「ホモ・デウス」(神のヒト)へと、自らをアップグレードしようとしているのだ。
引用:河出書房新社
ポイント
- この世界に住んでいるのは、主に人間とその家畜なのだ。
- ホモ・サピエンスは、自分がひときわ高い道徳的地位を享受し、人間の命は豚や象やオオカミの命よりもはるかに価値があるとも考えたがる。
- サピエンスだけが架空の存在を想像できる。他の動物たちが人間に対応できないのは、彼らには魂も心もないからではなく、必要な想像力が欠けているからだ。
サマリー
はじめに
本書の随所に見られる予測は、今日私たちが直面しているジレンマを考察する試みと、未来を変えようという提案に過ぎない。
人類が不死と至福と神性を手に入れようとするだろうという予測は、非常に可能性が高いように思える。
そうした夢はテクノロジーの面では不遜ではあるものの、イデオロギーの面では少しも目新しくない。
世界は過去300年にわたって人間至上主義に支配されてきた。
人新世
人間と家畜
他の動物たちにしてみれば、人間はすでにとうの昔に神になっている。私たちはこれについてあまり深く考えたがらない。
なぜなら、とりたてて公正な神でも慈悲深い神でもなかったからだ。
この世界に住んでいるのは、主に人間とその家畜なのだ。
今日、世界の大型動物の9割以上が、人間か家畜だ。
ホモ・サピエンスがゲームのルールを書き直してしまったからだ。
このサル目の一つの種が単独で、7万年の間に前代未聞の形で徹底的に全地球の生態系を変えてのけたのだ。
私たちの影響はあと100年のうちに、6500万年前に恐竜を一掃した小惑星の影響を超えかねない。
ヘビの子供たち
人類学や考古学の証拠を見ると、太古の狩猟採集民はおそらくアニミズムの信仰者だったことがわかる。
彼らは、人間を他の動物と隔てるような本質的な溝はないと信じていたのだ。
アニミズムの世界観は、現代まで生き延びてきた一部の狩猟採集コミュニティーを依然として支配している。
そのようなアニミズム態度は、多くの先進工業国の人には馴染みがない。
私たちのほとんどは、動物を自分たちとは本質的に異なる、劣った存在と自動的に見なす。
多くのアニミズムの文化では、人間は動物の子孫だと信じられており、その動物はヘビやその他の爬虫類の場合もある。
聖書によれば、人間は無類の被造物で、自分の中に獣性を認めようとするいかなる試みも、神の力と権威を否定することになる。
事実、近代の人間は、神の言葉に耳を傾けるのをやめた。
神の存在を信じることさえなくなった。
人間の輝き
命の価値
人間がこの世界でいちばん強力な種であることは疑いもない。
ホモ・サピエンスは、自分がひときわ高い道徳的地位を享受し、人間の命は豚や象やオオカミの命よりもはるかに価値があるとも考えたがる。
だが、果たしてそれが正しいかは、それほど明白ではない。
力は正義なり、なのだろうか。
アメリカはアフガニスタンよりもはるかに強力だ。
それならば、アメリカ人の命はアフガニスタン人の命よりも本質的な価値が大きいことになるのだろうか。
実際問題として、アメリカ人の命の方が高く評価されている。
平均的なアフガニスタン人と比べて、平均的なアメリカ人の教育と健康と安全には、ずっと多くのお金が注ぎ込まれている。
アメリカ国民が殺害されたら、アフガニスタン国民が殺害されたときよりもはるかに激しい国際的な抗議が沸き起こるだろう。
とはいえ、これは一般的に、地政学的な力の均衡の不当な結果に過ぎない。