【自分を捨てる仕事術-鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド-】
インフォメーション
題名 | 自分を捨てる仕事術-鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド- |
著者 | 石井 朋彦 |
出版社 | WAVE出版 |
出版日 | 2016年8月 |
価格 | 1,650円(税込) |
「3年間、自分を捨ててオレの真似だけしてろ! どうしても真似できなかったところが君の個性だから」
アニメプロデューサー・石井朋彦。その真摯な仕事の根底にある「自分を捨てる仕事術」とは何か。
「自分のなかには何もない。何かあるとしたら、それは外、つまり他人のなかである」という真実を、強い筆力で伝える1冊。
スタジオジブリの名プロデューサー鈴木敏夫が若き著者に教えた、会話術、文章術、人身掌握術、トラブル対応ほか、具体的方法論のすべて。
引用:WAVE出版
ポイント
- 天才と呼ばれる人が共通して持っていたのは、「自分を捨て、だれかのために仕事をする」というあり方だ。
- この本で伝えたいことは、「自分なんてどこにもいない。自分のなかには何もない。何かあるとしたら、それは外、つまり他人のなかである」。
- 「議事録を正確にまとめる」仕事こそ、「自分を捨てる仕事術」の最初の一歩である。
サマリー
はじめに
ぼくは、21歳のときにスタジオジブリに入社、プロデューサーの鈴木敏夫さんの下で20代を過ごし、「自分を捨てて他人の真似をする」という「仕事術」を伝授された。
「自分探し」「自分らしさ」……現代社会には「自分」という形のない言葉があふれている。
しかし、天才と呼ばれる人が共通して持っていたのは、「自分を捨て、だれかのために仕事をする」というあり方だ。
この本で伝えたいことは、「自分なんてどこにもいない。自分のなかには何もない。何かあるとしたら、それは外、つまり他人のなかである」。
自分を捨てて他者を真似る
他人の意見だけを、書く、まとめる、読み返す
ぼくの最初の仕事は、議事録を取ることだった。
会議での席順、相手の肩書きや見た目、発言、身振り手振りやテンションまでもノートに取る。
最初は、自分の意見を言いたくてウズウズしていたが、怒られるので考えないようにした。
「君の意見は?」と問われたときは、必要と思った意見を引き合いに、「○○さんがこうおっしゃいましたが、ぼくもその意見に近くて……」と切り出せばいい。
他人の意見を自分の意見として取り込む。
実は鈴木さん自身が、そういう「真似の名人」だったことに、しばらくして気づいた。
鈴木さんは、みんなの意見を総合的に判断し、もっとも優れたもの、必要なものを組み立てる。
議論をする目的は、発想が生まれることであり、だれが言ったかはどうでもいい、ということだ。
会議が終わると、議事録にまとめ、関係者にメールする。
まとめ直す作業によって、あらためて議論を俯瞰することになり、何が重要だったのかが見えてくる。
その場の話を正確に記録し、整理整頓しただけで、いつのまにかぼくは、「議事録を正確にまとめて、進むべき方向を示す人」という評価を獲得していた。
「議事録を正確にまとめる」仕事こそ、「自分を捨てる仕事術」の最初の一歩なのである。