【社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。】
インフォメーション
題名 | 社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。 |
著者 | 宮田博文 |
出版社 | かんき出版 |
出版日 | 2019年11月 |
価格 | 1540円(税込) |
働くすべての人必読!
社員をとことん信じ切る。社員は評価し、管理する対象ではない。
困難な時代に、「生産性至上主義」をやめて成長を続ける、奇跡の運送会社「宮田運輸」を率いる社長の新しい組織論。
著者は、社長就任後、会社を引き締めようと、社員に対する管理を強化。力業で数字を上げようとしたが、その結果死亡事故が発生。それをきっかけに方針を大転換し、社員を信じる「心の経営」をモットーとするようになる。その結果、従業員の主体性、仕事に対する姿勢が劇的に変化し、業績も急伸。現在、国内だけでなく、中国や韓国などからもたくさんのビジネスパーソンが視察に訪れるようになった。
本書は、管理をいっさいせず、社員の主体性を育み、組織を力強くを成長させる同社の仕組みを余すことなく紹介する。
引用:かんき出版
ポイント
- 「どっちがいいとか悪いとか分からないけれども、たった今、自分の息子は命を落とした。この息子には小学校4年生の女の子がいる。そのことだけはわかっておいてくれよな。」私が自身の仕事や経営について語るうえで、この事故の話を避けて通ることはできない。
- 人身事故の後、私は「人をとことんまで信じる経営をする」と決めた。そして、「従業員からも、社会からも選ばれ、応援される会社にする」と決めた。
- 私は、会社を本気で家族だと思っている。家族だと考えれば、信じるのが当たり前だ。
サマリー
プロローグ
たった今、自分の息子は命を落とした
その日のことは忘れもしない。
2013年8月30日。
宮田運輸の社員が運転するトラックがスクーターと接触したとの連絡が入った。
病院に駆けつけると、案内されたのは病室ではなく、霊安室だった。
亡くなった男性のお父様に謝罪をすると、お父様はやさしい口調でこうおっしゃられた。
「どっちがいいとか悪いとか分からないけれども、たった今、自分の息子は命を落とした。この息子には小学校4年生の女の子がいる。そのことだけはわかっておいてくれよな。」
私が自身の仕事や経営について語るうえで、この事故の話を避けて通ることはできない。
なぜなら、事故が起きた原因は、経営者である私自身にあったからだ。
私は、2012年、祖父の代から続く宮田運輸の代表取締役社長に就任した。
社長になりたての私は、自らが立てた長期の経営計画を達成するためにも、直近の数字をあげることにこだわっていた。
ある日の幹部会議では、部下の不甲斐ない報告に激怒し、無意識のうちに持っていたiPadを放り投げていた。
「結果を出さな、あかんのだ!できない理由は聞いていない!」
社長が数字に囚われ、幹部にプレッシャーをかけ、目標で縛れば縛るほど、従業員の主体性は消えていった。
社長就任から約1年、幹部会議での叱咤を続けていた時の、忘れもしない事故であった。
人を信じる。やさしさ、良心、美しい心に目を向ける
事故から1年ほど、私は仕事が終わって家に帰ると、自室にこもって「宮田運輸があり続けること」「自分が経営し、働いていくこと」の意味はなんなのかを自問自答し続けた。