【イスラム2.0 SNSが変えた1400年の宗教観】
インフォメーション
題名 | イスラム2.0 SNSが変えた1400年の宗教観 |
著者 | 飯山 陽 |
出版社 | 河出書房新社 |
出版日 | 2019年11月 |
価格 | 968円(税込) |
インターネットの発達がイスラム教徒を覚醒させた──誰もがコーランやハディースの知識に触れることで原点回帰が起きたのだ。気鋭の研究者による、最新「イスラム教の真実の姿」。
日本人の知らないイスラム最前線!!
ウェブ上にアップされた『コーラン』や「ハディース」。一部の宗教エリートたちのものであった知識や解釈が、翻訳・検索機能により誰でも容易に直接アクセスできる時代となった。このことにより、「啓示」は宗教エリートの手をはなれ、一般信徒の原理主義化が加速する。神の啓示に服従し、イスラム教徒はイスラム法によって統治される秩序の確立を目指し、彼らが正義だと信じるジハードを実行することが「正しいイスラム教徒」であることに気付き、それを希求するようになったのだ。
日本人の常識、西洋的価値観は捨てよ!
ヨーロッパでは「同化しない」イスラム教徒たちが、「移住」と「多産」により各国で議席を獲得しはじめるなど、民主的なイスラム化をすすめる「静かなるジハード」が進行し問題となっている。また、イスラム教徒が集住することで生まれたノー・ゴー・ゾーン(警察管理外地域)の増加、学校のイスラム化など、これまでの西洋的価値観では対応しきれなくなり、その失敗が白日のもとに晒されている。一方で、イスラム諸国も「イスラム教の宗教言説」を改革しなければ、テロの問題を解決できないことを認め、正面から向いはじめている。移民問題をはじめ、ターニングポイントに立たされている日本は、西洋の二の舞とならずに、どのように対処していけばよいのか──
「思い込み」「自分の価値観」を廃し、ただ「事実」に基づいてイスラム教を読み解く!!
引用:河出書房新社
ポイント
- 「イスラームは平和の宗教」というのが日本におけるイスラム教についての通説だ。しかしこれはイスラム教の本質をとらえていない。
- イスラム教の一般信徒は、『コーラン』の文言を字義通りに信じ、実践することが正しいと考えるようになった。イスラム2.0時代は、一般信徒が原理主義化していく時代である。
- 日本人は、イスラム教徒を安易に日本人と「オンナジ」だと思い込まず、互いの不快を軽減する努力をすることが必要である。
サマリー
はじめに
「イスラームは平和の宗教」というのが日本におけるイスラム教についての通説だ。
しかしこの通説はイスラム教の本質をとらえていない。
私の目的は、「現実の事案」を「イスラム教の論理」という視点から解き明かすことにより、「通説」を正し、啓示に立脚したイスラム教についての知識を一般に提示することである。
イスラム2.0時代の到来
イスラム2.0とは
近年、イスラム教徒の信仰実践のあり方が急速に劇的に変化している。
特に注目すべきなのが、「イスラム国」やアルカイダに代表されるグローバルなジハード・ネットワークの広がりと、一般のイスラム教徒の原理主義化である。
その背景にあるのは、「イスラム2.0」であると私は考えている。
「イスラム2.0」とは、私が創出した分析概念だ。
イスラム教が勃興した7世紀からインターネットが普及するまでの約1400年間の「イスラム教についての知識」がOSイスラム1.0、インターネットが普及した2000年代初頭から、2.0へとアップデートしている。
現在は、世界中のイスラム教徒の脳内OSが2.0への移行期、というのが私の認識である。