【リコール署名不正と表現の不自由 民主主義社会の危機を問う】
インフォメーション
題名 | リコール署名不正と表現の不自由 民主主義社会の危機を問う |
著者 | 編/中谷 雄二、岡本 有佳 著/飯島 滋明、高橋 良平、山本 みはぎ、おかだ だい |
出版社 | あけび書房 |
出版日 | 2021年11月20日 |
価格 | 1,760円(税込) |
ホント他人事ではなく、私たちの自由と民主主義がヤバい!
愛知県知事リコール署名不正
愛知・東京・大阪の「表現の不自由展・その後」妨害
自由と民主主義を脅かす事件に立ち向かう当事者が徹底解明
引用:あけび書房
ポイント
- 表現の伝達と交流の場がある展示会がつぶされるという異常な事態が起こっている。
- 知らず知らずのうちに表現の自由が侵害されていることに危機感を感じ、この危機感を可視化する展覧会を開こうというのが「表現の不自由展」という形となった。
- 苦悩し行動する作家の営みに経緯を払い、エールを送りたい。
サマリー
はじめに
この本は、2019~2021年まで、「表現の不自由展」をめぐって何があったのか、なぜ妨害が起こったのかの政治的背景を明らかにし、妨害する勢力とそれと闘う市民の運動の実態を広く知って頂くために企画されたものである。
著者はいずれも「表現の不自由展」に対する妨害やリコール不正署名運動に関わった妨害勢力を許さない、民主主義の基盤である表現の自由を守り、地方自治の破壊を許さないために様々な形で闘ってきた人々だ。
自ら体験した事実を明らかにし、どのような攻撃がされ、それとどう闘ったのかを現場から綴った。
市民運動の中心にいた人たちや市民と一緒に歩んできた弁護士や学者の報告から構成されている。
この本を手に取る市民の方々に、社会の右旋回が急激に進んでいると同時にそれと闘う市民の運動によって、この国の民主主義を守る闘いが進められてきたのかを知って頂きたい。
奪われた美術展、再び取り戻す
今、何が起きているのか?
いま日本社会で、ネット右翼や職業右翼による怒号妨害や脅迫行為、その妨害行為を防げない警察によって表現の伝達と交流の場がある展示会がつぶされるという異常な事態が起こっている。
さらにそれらによって会場を貸さない、貸し渋るといった自粛にもつながっている。
芸術文化の表現の自由が侵害されているという事態に陥っているのである。
市民の力を合わせれば必ず表現の伝達と交流の場は守れると信じて、開催に向けて準備を始めている。
東京展 怒号妨害 無力な警察
2021年6月25日から開幕予定だった「表現の不自由展・東京」は6月3日に開催を公表し、閲覧者の申し込みを開始した。
翌4日から申込者が急増する中で、ギャラリーに対し右派による妨害メールや電話が始まった。
6日には街宣が始まり、午前中は3台の街宣車、午後には6台が1時間半にわたって滞留し、不自由展への誹謗・中傷、ギャラリーを貸すことへの非難を怒号で続けた。
牛込警察署から警官が来て、マイク使用をやめるよう説得はしたものの、結局1時間半も街宣車を滞留させてしまった。
こうした警察の動きの鈍さについて、憲法研究者の志田氏は選挙演説などへのヤジにより市民が逮捕・起訴される事例と比較し均衡に欠くと指摘する。