【自衛官と家族の心をまもる 海外派遣によるトラウマ】
インフォメーション
題名 | 自衛官と家族の心をまもる 海外派遣によるトラウマ |
著者 | 海外派遣自衛官と家族の健康を考える会 編 |
出版社 | あけび書房 |
出版日 | 2021年9月 |
価格 | 1760円(税込) |
戦争がもたらす影響について国民的理解があるとは言えないまま、自衛隊海外派遣は回を重ね、すでに深刻な影響が出ています。イラク帰還自衛官の高い自殺率、南スーダンPKOでも帰還後すぐに自殺の報道がありました。
…… 私たち「海外派遣自衛官と家族の健康を考える会」は、トラウマやPTSDの理解を広め、何より高い自殺率を食い止めたいと願っています。
…… 本書が、戦争トラウマとどう向き合うべきかを考えるための一助となれば幸いです。
引用:あけび書房
ポイント
- 本書は、戦争トラウマとは何かを理解することに主眼を置いている。トラウマやPTSDの理解を広め、何より高い自殺率を食い止めたいと願っている。
- トラウマからリカバリーするために絶対必要なのは、家族や周りの人たちの「PTSDとは何か」という理解だ。
- 戦争による傷痕は、その時代を生きた人のみならず、世代関連鎖としてその傷を引き継いで今を生きる人たちがいることを忘れてはならないことを肝に銘じたい。
サマリー
はじめに 「海外派遣自衛官と家族の健康を考える会」共同代表 高遠菜穂子
「海外派遣自衛官と家族の健康を考える会」は、2017年の発足以降、コンバットストレスや戦争によるトラウマ、PTSDについての知識を広めていく目的で、全国各地でシンポジウムを開催してきた。
本書は、2020年5月から6月にかけて連続3回開催したオンラインシンポジウムの内容に加筆、新たに当会メンバー3人の寄稿と故五十嵐善雄医師(当会共同代表)の遺稿を加えて発刊することになった。
「撃たれる前に撃つ」が前提の戦場では、兵士の体験は加害と被害の体験が混在する。
そもそもトラウマは当事者が語りにくいもので、それが加害体験を語るとなればさらに難しい。
あの戦争を生き延びた兵士たちのほとんどが、その過酷な体験を自分の胸にしまったまま戦後を生きたのだと思う。
本書では、戦争のトラウマは戦場に赴いた当事者だけではなく、配偶者や子どもたちも影響を受けることが詳しく書かれている。
戦争がもたらす影響について国民的理解があるとは言えないまま、自衛隊海外派遣は回を重ね、すでに深刻な影響が出ている。
イラク帰還自衛官の高い自殺率や、南スーダンPKOでも帰還後にもすぐに自殺の報道があった。
本書は、戦争トラウマとは何かを理解することに主眼を置いている。
トラウマやPTSDの理解を広め、何より高い自殺率を食い止めたいと願っている。
戦争トラウマとどう向き合うべきかを考えるための一助となれば幸いだ。
当会設立経緯と目的 高遠菜穂子
当会は、筆者の個人的な体験が重なり設立に至った。
2003年3月20日、米英のイラク攻撃開始。
4月9日にバクダッド陥落。
その3週間後、ブッシュ米大統領(当時)の「大規模戦闘終結宣言」を聞いたその日、私は緊急支援のためイラクに初入国し、戦争がまだ終わってないことを身をもって体験した。
そして、2004年4月「自衛隊撤退要求の人質」として拘束されたのだ。