【コールセンターもしもし日記】

インフォメーション
題名 | コールセンターもしもし日記 |
著者 | 吉川 徹 |
出版社 | 発行 三五館シンシャ/発売 フォレスト出版 |
出版日 | 2022年3月 |
価格 | 1,430円(税込) |
「ひたすら怒られ続ける仕事」
派遣オペレーターが聞き耳立てる
生々しすぎる人間模様
――電話の向こうの知られざる世界
「携帯電話が使えないんですけど! どうなってるんですか!」
自衛隊員の妻だと名乗った女性は怒り狂っている。
「先月の料金のお支払いの確認が取れていないために、利用ができなくなっています」
「いつからですか! 住所見てわかりませんか! 自衛隊の官舎に住んでる人の電話をなぜとめるんですか! あなた、それでも日本人ですか!」
知りませんよ、そんなこと。携帯電話と自衛隊がどう関係あるんですか。金を払わないあんたが悪いんでしょう。使った分は払うのが社会のルールじゃないですか。
そう言いたい気持ちを抑え、ヒステリーに怒り狂う声を聞きながら再開の手続きを進めた。
――本書では、知られざるコールセンターの実態だけでなく、電話する側と受ける側の生々しい攻防、そしてそこに生きる人たちの人間模様を描いた。
引用:フォレスト出版
ポイント
- 【携帯電話料金の電話オペレーター】週5日、シフト勤務、平日休みあり、未経験者歓迎、20~30代歓迎、男性歓迎、台東区、時給1400円、何より時給がいい。
- 受信発信を問わず、電話の仕事で怖いのは、相手がどういう人かわからないことである。画面に出ているデータだけでは、性格的なことまで分からないので、地雷を踏むかどうかは運でしかないのだ。
サマリー
怒鳴り声:「さっさと使えるようにしろ!」
「携帯電話が朝から使えないんだけど、どうなってんのかなあ?」、高齢の男性からだった。
声の調子が穏やかだったので簡単に終わると思っていたが、目の前のパソコンで調べると、料金未払いで、今日から利用できなくなっている。
「先月の料金のお支払いがまだのようで、本日からご利用が停止になっています」
「先月の料金なんてとっくに払ってるよね。おばあさん、払ったよね。」
家の中に呼びかけている。
「いま領収書見たけど、3380円 払ってるよ」
「それは携帯電話の料金ではありません。ドコモからの料金は8897円ですので、こちらをお支払いいただければ・・・」
「払ってるって言ってんだろ。勝手に止めやがって!すぐ使えるようにしろ!」
突然口調が一変した。
興奮の仕方が尋常ではなく、頭の血管が破れるのではないかと思ったほどである。
「今、再会の手続きをしております。今回限りのお約束…」
「この大バカ野郎が!!」
怒鳴り声とともに電話は切れた。