【タクシードライバーぐるぐる日記――朝7時から都内を周回中、営収5万円まで帰庫できません】
インフォメーション
題名 | タクシードライバーぐるぐる日記――朝7時から都内を周回中、営収5万円まで帰庫できません |
著者 | 内田 正治 |
出版社 | 発行 三五館シンシャ/発売 フォレスト出版 |
出版日 | 2021年9月 |
価格 | 1,430円(税込) |
「言いがかりにも我慢の仕事」
タクシー乗務員がつづる
憂いと怒りと笑いの路上観察記
――今日もお客に怒られて来い!
お客の中には上から目線でストレスのはけ口をドライバーに向ける人もいた。
お客の理不尽な言いがかりにも反論することなく、ぐっと我慢した。
嫌なお客が降りた後、車内で「バカヤロー」と何度大声で怒鳴ったことだろう。
――50歳でスタートし、65歳でリタイアするまでの15年間の体験を書きまとめた。
私には私にしか書くことができない事実や思いがある。
引用:フォレスト出版
ポイント
- 一般的には早朝に出庫し、深夜に帰庫する。その日の売り上げの60%がドライバーの取り分であり、ここから税金等が引かれるので、手取りはさらに減る。稼いだ分が自分の収入に直結する、いわば個人事業主のようなものである。
- 家業が倒産したとき、私は形式上妻と離婚した。29歳のとき2つ年下の妻と一緒になり、20年に及ぶ結婚生活はまずまず良好だったと自分では思っている。借金問題が妻にも及ぶことを避けるための離婚であったが、会社の清算が決着しても、再び妻と一緒になろうというパワーはなかったのだ。
- 欲がなくなると、反対に運がついてくることもあるという。2013年12月の金曜日、奇跡のようなことが起こった。一日の営収が99,990円で過去最高額であった。
サマリー
汗と涙と罵倒の日々
売上の60%:知らないルールだらけ
この業界には、それまで私が知らなかった様々なルールがあった。
営業エリアがあり、エリア以外の場所でお客様を乗せることはできない。
また、乗車する車は乗車員2人で交互に使用するため、長距離で帰庫が遅くなると、相方はその車のエンジンを休ませることなく急いで出勤することもある。
出勤を「出番」といい、基本的には月12日の出番となる。
月12日なら楽な仕事かと思われるかもしれないが、1回の出番は18時間なので、一般の人が8時間勤務なら2倍だ。
とはいえ、私の実車はせいぜい5時間〜7時間ほどなので、空車で走る「流し」は、時間も燃料も無駄になるただ働きである。
一般的には早朝に出庫し、深夜に帰庫する。
その日の売り上げの60%がドライバーの取り分であり、ここから税金等が引かれるので、手取りはさらに減る。
稼いだ分が自分の収入に直結する、いわば個人事業主のようなものである。
帰庫後は、自分が乗っていた車は必ず洗車しなければいけない。
しかも基本的に手洗いで、水滴一つでも残してはならないという決まりがあるのだ。
冬場など、疲れはてた勤務の後、冷たい水で手をかじかませながらの作業は耐え難いものがある。