【「イヤな気持ち」を消す技術 ポケット版】

インフォメーション
題名 | 「イヤな気持ち」を消す技術 ポケット版 |
著者 | 苫米地 英人 |
出版社 | フォレスト出版 |
出版日 | 2021年11月 |
価格 | 1,320円(税込) |
ネガティブな思いに囚われた、
すべての人の処方箋。
本書は2012年に刊行され、東日本大震災(2011年3月11日)で傷ついた多くの人々の心を救った5万部超のロングセラー『「イヤな気持ち」を消す技術』のポケット版です。
現在、われわれを取り巻く世界はさまざまなネガティブな事象によって、日々不安が絶えません。
そんな今こそ求められているのが、科学的エビデンスに基づいた冷静な判断、過去の記憶に囚われることのない自由な生き方です。
本書『「イヤな記憶」を消す技術』はそんな生き方を実現するための最強のガイドといえます。
本書は、最先端の科学的知見をもとに、「悩み・不安の正体」を記憶と脳の関係で解き明かします。さらには、脳の仕組みとその特性を利用して、「どうすればイヤな記憶を忘れることが出来るのか」について具体的に示した画期的な書です。
これを読めば、ネガティブな情動に囚われずに生きていくことができるようになります。
引用:フォレスト出版
ポイント
- 本来、マイナスの出来事の記憶は、生きていくことに役立ちこそすれ、人間から生きる力を奪うものではない。
- イヤな記憶や、つまらない記憶ばかりが溜まっていくという悩みも、自我がそれを思い出させている。要するに、あなたの自我があなたを不幸にしているのだ。
- イヤな体験に対処するためには、まず次の3つの方法論をしっかりと身につけることが重要だと考えている。①高い抽象度で考える。②イヤな出来事の記憶に、「嬉しい、楽しい、気持ちいい、すがすがしい、誇らしい」という情動感覚を結びつける。③脳を自己発火させる。
サマリー
人間の脳はマイナスの出来事を記憶する
人間は誰でも、イヤな出来事、悲しい出来事、恐ろしい出来事の記憶をたくさん持っている。
人間の脳はマイナスの出来事を記憶していくようにつくられているのだ。
本来、マイナスの出来事の記憶は、生きていくことに役立ちこそすれ、人間から生きる力を奪うものではない。
私たちの自我は、過去の記憶によって成り立っている。
その過去の記憶によって自分の中に間違った”信念”が出来上がれば、自我は小さく歪なものになり、それが自分を苦しめることになる。
逆に、イヤな出来事、悲しい出来事、恐ろしい出来事の記憶を”忘れる”、あるいは「大変だったけど、いい体験をした」とプラスに評価できるようになれば、自我は大きく円満なものになり、それはあなたに前向きで囚われない思考をもたらす。
どんな出来事の記憶であっても、あなたがよりよく生きるためのプラスの力にできるのだ。
その具体的な方法を解き明かすのが本書の目的である。
あなたの自我があなたを不幸にする
仏教の教えに、煩悩という言葉がある。
その意味は、人間の心身の働きを乱し、悩まし、知恵を妨げる心の働きのことだ。
実は、お釈迦さんは、煩悩を持つ人間はありのままの世界を見ているわけではないということを、およそ2500年もの昔に看破した。
この思想は、認知科学が明らかにした「物理世界も仮想世界もすべてが仮想だ」という認知のカラクリをまさに言い当てている。
人間が煩悩の目で世界を見ているということは、言い換えると、その人の知識が世界をみているということだ。
私たちの脳は重要度の高いものしか認識しないので、目の前の世界は、その人の知識で重要だと思うもので成り立っているということなのだ。
本来、自分が重要だと思っている情報は「自我」である。
他人と自分とでは重要だと思っている順番が異なるので、当然自我も違うはずだ。
しかし、マスメディアなどの他人が「重要だ」と刷り込まれる情報も自然と自分のものになってしまう。
重要な情報が外から刷り込まれているということは、自我も他人によって刷り込まれているということにほかならない。
イヤな記憶や、つまらない記憶ばかりが溜まっていくという悩みも、自我がそれを思い出させている。
要するに、あなたの自我があなたを不幸にしているのだ。
だからこそ、自我を変えることが必要であり、そのためには、自分にとって重要な情報を変えていけばよいのだ。
具体的には、テレビを捨て、テレビを観ない生活を1ヶ月も続けると、自分にとって重要なことが、どんどん変わっていくのを実感することができる。
他人の煩悩を自分の煩悩のように勘違いし、それをきっかけにして自分でその重要度を高めるという悪循環が鎮まるからだ。
本当に自分の関心が向かう先がはっきりし、イヤな記憶やつまらない記憶に悩まされる状態から卒業していけるのだ。
イヤな気持ちから自分を解放するために
イヤな出来事が降りかかることは、自分の力で防ぎきれるものではない。
しかし、そのときのことをどう記憶するかは、自分の問題だ。
それぞれが自分に都合のいいように脳に仕舞い込み、自分で受け止め方を変えればいいだけのことである。
私は、イヤな体験に対処するためには、まず次の3つの方法論をしっかりと身につけることが重要だと考えている。
①高い抽象度で考える。
②イヤな出来事の記憶に、「嬉しい、楽しい、気持ちいい、すがすがしい、誇らしい」という情動感覚を結びつける。
③脳を自己発火させる。
1つ目の「抽象度を上げて考える」ということは、人間の脳の中で最後に進化した前頭前野を働かせて考えるということだ。
端的にいえば、イヤなことといいことの差がないということにほかならない。
たとえば、私たちはふだんイヤなことが起これば悲しいし、いいことが起これば嬉しいと感じる。
しかし、一つ上の抽象度で考えると、悲しいも嬉しいも、どちらも同じ「情動」だ。
イヤな出来事があったとしても、それを人生の重荷にする必要はなく、その記憶は大切な記憶として未来にとっておけばいい。
抽象度を上げて前頭前野で考えるというのは、時間と空間と善悪を超えた全体を俯瞰する視点を持つことなのだ。
2つ目は、「イヤな出来事の記憶に、『嬉しい、楽しい、気持ちいい、すがすがしい、誇らしい』という情動感覚を結びつける。」ことである。
人間がイヤな記憶に囚われてしまうようになるのは、その際の情動的記憶が長期記憶化していることが原因だ。
長期記憶化される理由は、脳の扁桃体が、その出来事が自分にとってものすごく不利であり、耐えがたいという情報処理を行うからだ。