【宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか】
インフォメーション
題名 | 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか |
著者 | ロビン・ダンバー 著/小田 哲 訳/長谷川眞理子 解説 |
出版社 | 白揚社 |
出版日 | 2023年 10月3日 |
価格 | 3,300円(税込) |
仏教、キリスト教、ヒンドゥー教、神道……
世界の主要な宗教は、なぜ同じ時期に同じ気候帯で誕生したのか?
カルト宗教はなぜ次々と生まれ、人々を惹きつけるのか?
科学が隆盛を極める現代においても、
宗教は衰えるどころかますます影響力を強めている。
ときに国家間の戦争を引き起こすほど
人々の心に深く根差した信仰心は、なぜ生まれたのか?
そして、いかにして私たちが今日知る世界宗教へと進化したのか?
「ダンバー数」で世界的に知られ、
人類学のノーベル賞「トマス・ハクスリー記念賞」を受賞した著者が、
人類学、心理学、神経科学など多彩な視点から
「宗教とは何か」という根源的な問いに迫った、壮大なスケールの一冊。
■ ■ ■
集団内に協力行動を生みだす信仰心も、
集団の外に対しては反社会的行動の原動力となる。
宗教的アイデンティティが国家に利用されるとき、悲劇は起こる。
――フィナンシャル・タイムズ紙
宗教と人間の生活のあり方は、かくも複雑なのである。
本書は、その両方を進化的ないきさつから説明しようと、
真に大きな考察を展開しようと試みる大作である。
――長谷川眞理子(進化生物学者、総合研究大学院大学名誉教授/「解説」より)
引用:白揚社
ポイント
- 主要な宗教はみな、神秘体験が重要な要素になっている。ここでいう神秘体験とは、個人が体験する神聖で超越した感覚のことだ。
- 一般的な傾向として、宗教を信仰している人は幸福であり、人生に満足していることが分かっている。また、信仰に積極的な人は、そうでない人よりも健康であることも確かめられているのだ。
- 現実社会で私たちは、直接触れることなくエンドルフィンの分泌を促す一連の行動がある。
サマリー
はじめに
人類の歴史が始まってから、常に宗教は重要な営みであった。
考古学や民族雑誌で存在が確認されている文化には、どのような形であれ、必ず宗教が存在している。
宗教といっても、形式、流儀、規模はさまざまであるが、他者と関わりながら、道徳的に生きることが正しいという考えは広くみられる。
宗教は難題であるが、とくに基本的な二つの問題を考えていこう。
まず一つはその普遍性だ。
近代社会では世俗化が強まるという傾向にあるが、それでも宗教は根強く、いくら弾圧されてもしぶとく残っている。
どうして人間は、これほどまでに宗教を信じようとするのか。
そしてもう一つの疑問、なぜ宗教はこんなにたくさんあるのだろう。
ひとつあれば良いのではと思うが、時代とともに宗教は分裂していき、今日も新しい宗教が次々と生まれている。
主にこの二つの疑問は、一見、別問題のように思えるが、詳しくみていけば密接な関係にあることがわかるだろう。
神秘思考
主要な宗教はみな、神秘体験が重要な要素になっている。
ここでいう神秘体験とは、個人が体験する神聖で超越した感覚のことだ。