【80’s エイティーズ ある80年代の物語】
インフォメーション
題名 | 80’s エイティーズ ある80年代の物語 |
著者 | 橘玲 |
出版社 | 幻冬舎 |
出版日 | 2020年8月 |
価格 | 737円(税込) |
大学卒業後、零細出版社に入ったぼくは一年で辞め小さな編プロを作った。請け負ったギャル雑誌は面白かったが多忙で家に帰れない。バブルが近づく。雑誌は休刊。ぼくは失職。だが東京は輝いていた。別の出版社の取材でオウムにかかわり、やがて地下鉄サリン。青春が終わった気がした――出版業界の熱気と時代の煌めきを活写した私ノンフィクション。
引用:幻冬舎
ポイント
- 自分が一人でいることにさほど苦痛がないことにも気づき、ほかの子とはどこか違っていると感じた。この違和感は、中学でも高校でもつきまとったのである。
- 24歳の時に、友だち三人でママゴトみたいな会社をつくり、同じころ彼女に子どもができて、ママゴトみたいな結婚をした。
- オウム真理教とはなにか、というのはもちろん諸説あるが、僕の理解では「仏教原理主義カルト」である。
サマリー
ほとんどの場合、大人のいうことは正しい
僕は地方都市のごく平凡なサラリーマンの家に生まれた。
小学校の頃の記憶はあまりないが、唯一憶えているのが転校先での出来事だ。
新しい学校は「民主的」なクラス運営を目指しているようで、若い担任の女性教師は、子ども達で話し合って班を組むよう指導した。
転校直後の僕は、どこの班にも所属できずに女の子と二人で取り残されてしまったのだ。
こうして僕らは二人だけの班になった。
だが、その女の子は知的障がいがあり、ぼくが班長として彼女の代わりに返事をしたり、宿題を手伝ってあげたりした。
今にして思えば、若い女性教師は障がいのある生徒の扱いに困ったので、転校生の僕にすべての面倒を押しつけたのである。
しかしその時、自分が一人でいることにさほど苦痛がないことにも気づき、ほかの子とはどこか違っていると感じた。
この違和感は、中学でも高校でもつきまとったのである。