【世界インフレ時代の経済指標】

インフォメーション
題名 | 世界インフレ時代の経済指標 |
著者 | エミン・ユルマズ |
出版社 | かんき出版 |
出版日 | 2023年5月 |
価格 | 1,760円(税込) |
「最後にこれは特に日本人に伝えたいことですが、過去30年も続いたデフレ経済によって、皆さんの脳はデフレに慣れ切っています。つまりデフレ的な発想では、これからのインフレ時代を乗り切ることができません。」
今、時代が大きなパラダイムの転換点を迎えています。
相場の大局観は、経済指標で手に入れよう!
いま最も影響力のあるエコノミストによる、経済金融の教科書。
景気、金利、為替、株価、物価… 経済と金融のなぜ? がスッキリ!
物価・原材料上昇、サプライチェーンの混乱、金利上昇・・・、今ほど、経済の先行きが不透明な年は近年ありませんでした。政治的対立や戦争を、SNSなどのメディアによって身近に感じ、それらのイベントによって相場のみならず日常の「暮らし」への影響が波及してきています。
現状を正確につかみ、未来を読む手がかりとなるのが「経済指標」です。シグナルを知ることで景気の変動に左右されることなく大切な資産を守り、着実に増やすことができます。
本書は、投資家や金融機関が参考にするオーソドックスな指標から、著者が実践のなかで気づいたユニークな指標まで、その読み方を解説する1冊です。投資家やグローバルビジネスに携わる人のみならず、これから経済を学びたい人を対象としていて、経済を読み解く羅針盤としての1冊となります。
引用:かんき出版
ポイント
- 米国で発表される経済指標は別段、先行的な動きをするものではないが、大きなトレンドや転換点はやはり米国の動きを見ないとわからない。
- 雇用統計ではさまざまな数字が発表されるが、特に注視しておくべきなのが、「非農業部門雇用者数」「失業率」「労働参加率」の3つである。
- 米国の雇用統計ほど株価や為替レートに大きな影響を及ぼすものはない。
サマリー
はじめに
この本は、経済指標の読み方、使い方を解説した1冊である。
投資家や金融機関で務めている方、グローバルビジネスに携わっている方はもちろん、あらゆるビジネスパーソンやこれから経済を学ぶ学生にも役立つ内容になるよう努めた。
投資や経済分析をする際に、もっとも大切なものは目先のイベントに振り回されることなく、「大局観」を持つことである。
ぜひ、これからの世界インフレ時代を生き抜く知恵を手に入れてほしい。
重要な経済指標はどれか?
経済指標は、まず米国を読む
マクロ経済の流れ、現状を把握するためにまず見るのは、米国の経済指標である。
なぜなら、世界経済の大きな流れは、米国を見ないと分からないからである。
米国は世界で最も経済規模の大きな国だ。
強力な軍事力があり、政治や経済政策などでリーダー役を果たしている。
米国で発表される経済指標は別段、先行的な動きをするものではないが、大きなトレンドや転換点はやはり米国の動きを見ないとわからない。
たとえば中央銀行のトップは、世界中に国の数ほどいるが、そのなかでもとりわけFRB議長、日銀総裁、ECB(欧州中央銀行)総裁、BOE(バンク・オブ・イングランド)総裁の発言は注目を集める。
そのなかでももっとも注目度が高いのは、FRB議長の発言だ。
米雇用統計は、マーケットを大きく動かす
米国の「雇用統計」は「相場にとっては」とにかく大事な指標である。
雇用統計は毎月第一金曜日に発表される。
米国だと午前8時半で、日本だと午後9時半に当たる。
この時間に米ドル/円の為替レートをリアルタイムで見ていると、発表直後に為替レートが激しく動くのがわかる。
雇用統計ではさまざまな数字が発表されるが、特に注視しておくべきなのが、「非農業部門雇用者数」「失業率」「労働参加率」の3つである。
経済的に大きなトピックがない平時の際には、まず雇用統計が重視される。
投資をするうえで、まず注目すべきは、米国の経済指標である。
いくら日本の雇用関連統計が絶好調だったとしても、米国の雇用統計のひとつである「非農業部門雇用者数」の数字が絶好調だったら、円は買われるどころか、逆に大きく売り込まれることになる。
日本の経済が絶好調でも、円が売られるのである。
それだけ米国経済が世界経済に及ぼすインパクトが大きいということである。
米国の雇用統計
要注目の経済指標
数ある経済指標のなかでも、米国の雇用統計ほど株価や為替レートに大きな影響を及ぼすものはない。
最重要の指標と言える。
なぜ雇用統計が重視されるのかというと、第一に非常にタイムリーな指標だからだ。
発表されるのが毎月第一金曜日であるため、前の月末からそれほど日数を置かずに、前月の内容が発表される。
多くの経済指標は、集計が終わってから発表するまでの間、多少の日数を必要とするため、若干遅行する傾向があるが、雇用統計はほとんどタイムラグがない。
もう一つの理由として、かなり詳細なレポートが出てくることだ。
これらの数字や詳細なレポートをエコノミストや、機関投資家で運用を担当している人たちが重視している。