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【流浪の月】

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インフォメーション

題名 流浪の月
著者 凪良 ゆう(なぎら ゆう)
出版社 東京創元社
出版日 2022年2月25日
価格 定価:814円(税込)

登場人物

家内 更紗(かない さらさ)
 主人公。「家内更紗ちゃん誘拐事件」の被害者として扱われる人生に疑問を感じる。

佐伯 文(さえき ふみ)
 更紗を誘拐した犯人として世間では異常者と見なされ、現在はカフェのオーナーとしてひっそりと暮らしている。

中瀬 亮(なかせ りょう)
 更紗の彼氏。束縛が激しく、暴力を振るう癖がある。

谷さん
 文の彼女。物言いがきつく、更紗に対して文につきまとわないように警告する。

あらすじ

※一部、ネタバレを含みます。

※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。

①物語の始まり

出会い

家内更紗(かないさらさ)はマイペースな母と家族を愛してやまない優しい父親の元に生まれ、のびのびと暮らしていた。

しかし、父が病気で亡くなると、母は愛人と蒸発。

更紗は叔母に引き取られ、「普通の子」として退屈な生活を送る。

そんなとき、学校帰りに立ち寄る公園にいつも若い男性がいて、ベンチに座って小学生の女の子たちを見つめているのを発見する。

みんなは男性を「ロリコン」だと言い、気をつけるように言うが、家に帰りたくない更紗はある日、その男性の家についていくことにする。

文との生活

男性の名前は佐伯文(さえきふみ)、19歳の大学生。

いわゆる教育ママに育てられた文の生活は、教科書のような規則正しい生活で、更紗は驚く。

しかし、文は叔母の家では到底できないであろう「夕食にアイスクリームを食べる」「布団に寝転んで宅配ピザを食べる」などの更紗の要求に応えてくれた。

1週間もすると更紗が行方不明になっているニュースが連日報道されるようになった。

文は「いつでも帰っていい」と言ってくれたが、やっと手に入れた以前のような日々を捨てる気になれず、更紗は文の部屋に居続ける。

ある日、「パンダが見たい」と言った更紗は文と動物園に行く。

しかし、「家内更紗ちゃん!」と誰かが叫んだとたん、文と更紗は引き離され、文は少女誘拐事件の容疑者として逮捕される。

更紗の憂鬱

更紗がいくら「文は何もしていない」と訴えても、誰も本当の気持ちを理解してくれない。

絶望した更紗は叔母の家に戻る。

しかし、何かしてくるのは文ではなく、叔母の息子の孝弘だった。

夜になると更紗の部屋に入り、体を触っていたのは孝弘。

この家にいるくらいなら牢屋の方がマシ、そう思った更紗は叔父の酒瓶を孝弘の頭めがけて叩きつけた。

②物語の目的

大人になった更紗

孝弘のことをきっかけに更紗は児童養護施設に預けられ、あれから15年が経った。

24才になった更紗は交際している亮と同棲していた。

結婚の話も出ていたが、更紗は亮とずっと一緒にいたいのかわからない。

亮はもちろん「家内更紗ちゃん誘拐事件」のことは知っていて、更紗のことをかわいそうだと思っているのも更紗にとっては引っかかっていた。

文との再会

更紗はあるとき、『calico』という名前のカフェを訪れる。

その店のマスターを一目見た瞬間、更紗は固まった。

マスターは文だった。

それ以来、更紗は残業だと嘘をついて、仕事帰りに『calico』に通うようになる。

いつものように店を訪れると、そこに亮が現れたのだが、最近の亮はバイト先に更紗のシフトを尋ねたり、頻繁に連絡をしてくるようになっていたりと束縛が激しくなっていた。

バーが閉店した後、文を待っていると文が女性と一緒に出てくる。

更紗は思わず声をかけるが、文は当たり障りのない返事をしただけで、更紗のことを覚えているかどうかはわからなかった。

亮との関係

翌日、最近様子がおかしいと亮に言われ、押し問答をしていると、亮の携帯電話に祖母が倒れたと連絡が入る。

亮に懇願されて、更紗は亮と一緒に亮の実家に行く。

すると、更紗の腕にあるアザを見て、亮のいとこの泉が「亮にはDV癖がある」と言った。

さらに亮の昔の話をいくつか聞き、亮の心にも誰にも言えない傷があることを知った更紗は亮と一緒に生きていこうと決意し、『calico』には行くのをやめる。

③目的達成までの物語の場面

豹変した亮

亮と一緒にいる覚悟を決めたものの、心の中にはずっと文がいる。

今でもインターネット上では容赦なく個人情報がさらされ、世間では犯罪者とかわいそうな女の子という認識であることに更紗は苦しい思いを抱えていた。

いつものようにインターネットで文のことを検索していると、「家内更紗ちゃん誘拐」の情報が更新されていて、『calico』の外観と文の写真が載せられていた。

犯人は亮だった。

更紗がそのことについて言及すると、亮は更紗に激しい暴力をふるう。

着の身着のまま更紗が向かった先は『calico』だった。

店の前にたたずんでいると、店に入れてくれる文。

文はちゃんと更紗のことに気付いていた。

新しい生活

文との久々の再会をきっかけに更紗は亮と別れる決心をする。

内緒で住むところを探して、亮が仕事に行っている間に家を出た更紗。

引っ越した先は、文の隣の部屋だった。

現在の文の彼女・谷さんに見つかると警察に通報されるので、変装して注意を払っていたつもりが、文は更紗が引っ越して来たことにも気づいていた。

以前のような距離感を嬉しく思う更紗。

しかし、亮にすぐ見つかってしまう。

亮は更紗のマンションに現れ、文と一緒に暮らしているのかと声を荒げ、またもや暴力を振るおうとする。

その後、亮が来ることはなかったが、谷さんに文のストーカーの疑いをかけられて警察に連れていかれたり、同僚の安西さんの娘の梨花ちゃんを預かったりと色々なことがあった更紗。

不穏な空気

ある日、更紗は店長に呼ばれる。

すると、本社の人が来ていて、1冊の週刊誌を手渡された。

そこには『いまだ終わらない家内更紗ちゃん誘拐事件』と題され、現在の文と更紗の様子が写真入りで書かれていた。

翌週には明らかに亮がしゃべったであろう記事が掲載され、更紗は会社を辞めて亮に会いに行く。

亮に会いに行った更紗はよりを戻したい亮とトラブルになり、亮は階段から落ちてしまう。

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