【ロシアと中国 反米の戦略】
インフォメーション
題名 | ロシアと中国 反米の戦略 |
著者 | 廣瀬 陽子 |
出版社 | 筑摩書房 |
出版日 | 2018年7月5日 |
価格 | 924円(税込) |
内には独裁的体制を強化し、外には米国一極支配に対抗するという共通目標をもつロシアと中国。ロシアの豊富な資源と軍事技術を求める中国、中国の経済成長によって国際的な孤立からの脱却をはかるロシア。両国の蜜月関係は強固に見える。だが、じっさいの思惑は一致していない。その舞台裏では、熾烈な主導権争いが闘わされている。ユーラシア連合と一帯一路、AIIB、BRICS、上海協力機構、北極圏に関連する利権や勢力圏をめぐる駆け引き…。世界のリバランスが進むなか、両大国に接する日本はどうするべきか。気鋭の国際政治学者が最新情報から、激動の国際情勢を読み解く。
引用:筑摩書房
ポイント
- ロシアの豊富な資源と軍事技術を求める中国、中国の経済成長によって国際的な孤立からの脱却をはかるロシア。2国の関係は強固に見えるが、じっさいの思惑は一致していない。その裏では、熾烈な主導権争いが繰り広げられている。
サマリー
はじめに
1991年のソ連解体によって冷戦が終結した後も、ロシアと米国との関係は一筋縄には進展していない。
現代においてもロシアを仮想敵国とするかのようにNATO(北大西洋条約機構)は拡大を続けている。
2009年に誕生した米国オバマ政権では、ロシアとの関係改善を模索する動きがあり、国際関係の変化が進むかに思われたが関係改善は容易ではなかった。
2014年のクリミア併合、ウクライナ東部の危機などで、ロシアが孤立を深める一方で、米国の一極的世界に反発する中国とロシアが関係を緊密化させ、経済発展とともに中国が世界における存在感を高めてきた。
近年のロシアと中国という二大国のユーラシアにおける動きは国際的にも大きな影響力を拡大してきた。
本書では中露を中心とした国際情勢を読み解いていきたい。
孤立するロシア
ロシアと中国
「離婚なき便宜的結婚」とすら言われているロシアと中国の関係は、一見緊密に見えるも、相互の不信感は根強いとされている。
米国による一極的支配に対抗し、多極的世界を構築していくという共通の目標から利害一致関係にある一方で、地域における影響力争いなどでは若干の緊張をはらむものもある。
BRICSやSCOの中でも中露のどちらが主導権を取り優位に立つかという緊張が常にあった。
また対立の一つとしてエネルギーをめぐる亀裂もあった。
ロシアから中国への天然ガス輸出に関する基本合意まで行いながら、それぞれの事情を背景として価格面での折り合いがつかないまま最終合意まで至ることができないでいた。
中国が経済発展を背景に、世界的な影響力を強めていく一方で、ロシアにとって本音としては隣国の成長は脅威であり、警戒を強めるものとなっている。