【マリエ】
インフォメーション
題名 | マリエ |
著者 | 千早 茜(ちはや あかね) |
出版社 | 文藝春秋 |
出版日 | 1,870円(税込) |
価格 | 2023年08月25日 |
登場人物
・桐原まりえ
アラフォー。バツイチ
・森崎
元旦那
・観月台
マリエの大学時代の先輩
・マキ
ワインバーで知り合った親ほども年齢の違う、友人と呼んでいいか迷う友人
・由衣
年下。まりえの彼氏
あらすじ
※一部、ネタバレを含みます。
※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。
嗅覚は頭よりずっと多くのことを知っている
森崎と離婚届を出しに行った帰りに、まりえはフレグランスグッズを扱う店に行く。
まりえが選んだ香水は、今朝の時間をまさに香りに変えたような、青空の下に真っ白なシーツを広げたようなイメージの香水を選んだ。
今日で終わる寂しさよりも、ひとりの清々しさを感じたのだった。
離婚の理由
「白粉の香りなんかさせちゃって」「すっきりした顔をしてるわね」とマキは言う。
どうして離婚したのか、単刀直入にまりえに尋ねた。
森崎から恋愛したいと言われたと話す。
森崎は恋愛したいという願望を、正当な権利のように言い放った。
まりえとは恋愛できないことを謝罪しなかった。
詫びることでまりえを惨めにはさせなかった。
結婚相談所
まりえと同じ日に離婚をした大学時代の先輩・尊と離婚祝いをした。
観月台も一緒にいた。
観月台は婚活をしていて、話を聞きたくて尊が誘ったのだ。
観月台の行く結婚相談所は大手でマッチングも、断るのも、コンサルタントがしてくれるから楽ではあること。
ただ、年収や年齢、子供が欲しいか、介護はできるか、具体的な条件がないと選べないという。
観月台の話を聞いた尊が、体験をしてきてくれよ、とまりえに頼んできたので、話だけ聞きに行った。
マリッジコンサルタントの間宮に「とにかく動かないとなにも始まりません」と言われる。
しかし、踏みださないとなにも起きないならそれはとても良いことなのではないかとまりえは考えていた。
平穏が約束されているということなのだから。なにか予想外なことが起きる人生よりずっといい。
年下彼氏との出会い
隣を歩く人がいる。
酔っているまりえの歩調に合わせて、男の子の髪が月のような銀色に光っていた。
いつものワインバーで、フレグランスショップの店員と会い、友人だと由衣を紹介された。
夜道を歩くまりえの後ろを、三十センチほど間を空けて付き合ってくれた。
話すことがなく気詰まりで、楽しくもないだろうに、生真面目に後ろを歩き続け、まりえのマンションまで一緒に来た。
正直、警戒する気持ちはあったけれど、見るからに歳が離れた若い男性を意識していると思われるのも恥ずかしく、まりえは「お茶でも飲んでいく?」と言ってしまった。
お腹が空いていた由衣に、一番早くできる小麦粉料理のガーダスープを作った。
レシピを知りたいというので連絡先を交換する。
数日後、ガーダスープがうまく作れないと由衣から連絡が来たので直接教える。
そのまま週末恒例の個人料理教室のようになってしまった。
一緒に生地を練り、寝かせて、成形し、火を通して、食べる。
しかし、まりえはふとした瞬間に若い男性が部屋にいる理由がよくわからなくなっていた。
友人にはいなかったタイプだけど、由衣と言葉が通じるのは嬉しかった。
仲良くなれるかもしれないと思った。